vestige-ヴェスティージ-について

「ねえ!」
はい!
「いやあもう、10年ですよ!」
10年!
「おかげさまで」
早いなあ(笑)
「皆様のおかげですよ、もうほんまに!」
て言うと、ファンはもう“いやいやたあ坊のおかげや”って言うと思う
「いやいや。あのー、なんでしょうね。まあまさかですよ。出てきて、間なしの頃ね」
はい
「次の年世の中におるとは思ってなかったでしょ、皆(笑)」
周りが?
「そうよー」
そうかなー?
「いや、でもほら、やっぱ出方が派手っていうかー、ねえ」
はあはあ
「ねえ、奇抜というか、突飛というか。そういう意味ではアイキャッチがあるぶんだけ、飽きられるも早いっていうのがあるもんじゃないすか」
そんな事考える?
「やーでも、それはリアルに感じてたし」
へーー
「でもなんか、それが10年て、えらいこっちゃん!」
や、でも俺ねえ、特にねー。一時こう、封印したりとかあったやんか。
「うん」
あれが今考えたら、まあ言い方は変かも知れんけど、ドラマティックやったよね
「うーん何かねえ、あのー自分的にはね、ものすごい、悩みましたけどね」
そうやんなあー
「なんかほら、誠意があると思われへんかったから。ファンの人に」
ほぉーー
「だからほんまやったら、もっと更に、こんだけしてもらえてんのやったら、次もっとね、細かく色んなとこまわったりだとか、色んな人に喜んでもらえることしようとか」
ほうほう
「そういうことをやるべきやとずっと思ってたし」
ほうーんで?
「それで急に方向転換して、なんていうかなー、こちら本位で動いてるんちゃうかなーっていうので」
ほうほう
「すごい悩んでー」
ほーう
「でもやっぱ、スタッフにしてみたら、それこそやっぱこう、飽和した状況?それこそ、次もっと派手な事せなあかん、もーっと次どんな事すんねやろ、ってこと期待されている状況でずーっと続けてたら、やっぱ人間が一人で出来る事なんて限られてるし」
はいはい
「でー、やっぱりとらざるを得なかった処置や、ってないう風なところで納得はしたけども、でもやっぱり、どっか心の中で、これではー、なんかこう、こちら本位で、なんか、それまでは“皆がT.M.Revolutionなんやでー!”とか言うてたのに」
言うてた言うてた
「ちゃうやん!みたいな」
俺も!俺も一人やからね、その。デビュー当時来て!それこそ
「それもあって、すごいねえ、すごい、なんか、悩んだ時もあったし」
んー。
「そんでやっぱ途中から“や、これじゃないなあ”て思い始めて、1年でなんか、TMRもいっかい始めたほうがええんちゃうかな、みたいに言い始めたのが、なんか」
おお、ほうほう
「もう、半年も経たへんときやったけども」
ほーう
「でも、今考えるとね、ま、やっぱそういうのもあって、そうやって、やっぱ、そういうのの中で、やっぱファンの人がおって、はじめて成り立つもんやなって、やっぱ、考えられて、よかったなあ、と、思いますけどね」
やー、だからさあ、あのときがあったから、ファンのほうにも、ある種緊張感が走ってたからね
「かねえ」
うん!そんときに、あのー、ま、変な話やで?
「うん」
人間てさ、失くしてから気付く、ゆうことあったり
「はあー」
離れてから分かる事があったり
「ありますね」
あるやん。
「んー」
なんかファンの中にもそういう気分、やっぱり、変な話思い知った人もあるやろうし
「かなー?」
特に、もうほんとに思うよ。ぶっちゃけ、俺ごときの話やけど、大阪で仕事してても東京で仕事してても、T.M.Revolutionのファンはもう、熱くてさあ!
「ふふっ」
山本シュウつかまえては、語りだすから。あ、こんだけハートの奥底まで掴んでるんやな、或いは掴みあってんねやなっていう気がするよ。
「んー。あのー、何やろ、こーう、僕自身もね、それまでバンドやってて、自分の詞曲プロデュース以外のものを」
うん
「自分で歌ったことがなくて」
はい
「で、TMRにおいては、それこそそういう部分は、ね?それこそ、ある部分ちゃんとしっかりと、プロジェクトの中で構成する人がおって」
はい
「で、シンガーとして、自分の力量一本でどこまでできるのか、みたいな、ハナシ」
はい
「だから、すごいねえ、何ていうかなあ、もう、そうなると楽曲とか、詞の世界、まあ勿論、アルバムの中で詞も書いたりしてるし、最近はちゃんとアレンジやプロデュースなんかで、ちゃんとね?そういう部分、落とし込む事はできてても、最初の頃とかって、そういうのができなかった分だけ、何でじゃあ、訴えられるのかって言うたら、命削るしかないわけで(笑)」
おう、おう!
「そこでぼろぼろになったりとか、もうとことんまでやり切ってるなみたいなところで、 “あ、こいつ真剣やな”とか思ってもらわな、みたいなとこあったので」
うん、うん
「やっぱ、そこまで晒さんと、というか、そこまで腹割らんと、ひとつになられへんとこもあるんちゃうかな、というところもすごいあったし。逆にそれやることで、何や、そこまで腹開けんねやん、みたいなとこあったりとか、何か、ていう思いを皆が共有してくれてるというか。だからなんか、僕に対してとかだったりとか、ほら、シュウさんとかさ、ずっとこう、古い人に対してはさ、そういうところで、言いたくなる気持ちも、もしかしたらあるんちゃうかなー、と思ったり」
あのー、丁度だから10年やけども、やっぱ今の言葉がね、実は、どんなジャンルの人間においても、どの仕事してる人間においても、すごく大切な言葉を、今、おっしゃった
「ホンマ?」
あのー、バンドしてる子おらもね、今の言葉ね、頭ン中でわかってるだけでもね、本当の意味で分かるまではね、時間かかるかもわからんけど、やっぱりね、命削るっていうのはね、逆に言うとよ。命削れるものあるゆうのはね、ひとつ幸せやで
「せやねんねー。あのー、僕もほら、ラジオとかずっとやってるんやけど、でほらたまにー、めーるとか、こう覗いたりとかしてると、やりたい事がわからへんとか、何したら良いのかわからへんとかいうの、すごい多かったりするでしょ。」
うん。
「そうやねん、よう考えたら、そういう悩み持ったことないから。」
んー。
「中学のときに、バンド組んで、あ、なんかこれかもしれへんなあって、なんか思って」
がむしゃらにやって
「ま、言うたら思い込みがスタートなんですけど、そっからやってきて、一度もこれ以外のことで、他になんかこれやれたらいいなあ、っていう事考えた事なかったから」
考えるひまもないと
「そう、だからそういう意味では、すごくラッキーやったんやなあって思う。でも同時に、何でそういう風に思われへんのやろうって、皆どうしたんやろうってすごく思うし、それで、なんか・・・。ただね、もっとこう考えやー、とか、そんな事ないってー、とか、言うのは簡単やけど、じゃあ自分でさ、そういうのをさ、示してあげられる方法って何なんかなーって考えたら、さっきの話ではないけど、削る、とか、あとは、こんだけやってても、もっともっと夢があったりとか」
うん。
「自分にはもっと、実は、それこそさ、いつかちゃんとバンドで、もっと大成してみたいねん、とかさ(笑)」
うんうん
「バンドで、もっとこうなんか、色んな人に“アイツええやん”とかなんか、言われてみたいなーとか、夢はなんかこうずっと持ってて」
おうおう!
「だから、何年やってようが、30超えてようが、やっぱ、もっかいやっぱ夢見るために、ちゃんとイチからゼロからじゃないけど、やりたいなあって思ったときは、今年こう始められたりしてるし、そういうの見て“ああ、なんや、時間掛かっても、そうやってなんか見つけられたらええやんな”とか、今じゃないとでけへん事もあるけど、確かに。でも、そこにたどり着くまでに、どんだけ回り道しても、なんか、やれたらそれで」
うん!うん!
「ええんちゃうかなあって」
うん!
「そういう人が、一人でも増えてくれたら、嬉しいなあとは思いますけどね」
いやあ、届いてると思うよ。もう、何よりもあのパフォーマンス、いわゆるライブパフォーマンスのなかでも、ステージを見てて、降りてくるもんやん、自分の中のヒントやり、ああ、やっぱりこのままやとアカン!て、急に思わされたりとか、それがマジックやと思うし、だってそれが、こんだけ並んでる子おらが答えやな、これな。
「せやね」
んー。まあ、そういう意味では今回のvestige。これはですねー、イントロ15秒ですけども、これイントロからですね、既にドラマティックな
「ふふっ」
ま、ドラマティックな曲は多いですけども。で、改めて、やっぱり。これだけのダイスケ・アサクラがやってくる、アレンジ。深さ、広さ、パワフル。コレにやっぱ俺、毎回同じ事言わされるけど、やっぱりちゃんと答えてるいうかね、乗りこなしてるというかね、負けてないというか、もうすごいボーカルやなーと。改めて思いましたね。
「ありがとうございます」
僕はコレ、Bメロのアレンジとかも好きなんですよ
「あーあ」
何かある種大げさな感じで
「えっへへ、大げさ。大仰な感じでね」
好きなんですよ。どうですか、これ歌ってて。僕はすごくね、あなたの心のグルーブを、歌声に感じるんですよ。何かこう、レコーディングするのに、魂入れ込んでるなーって、そりゃもう、全曲そうやろうけども。
「なんかね、あのー。そうやなあ」
どうやった、今回のこれ
「まあ、色々ね、何かやらせてもらってきて、こうやってやってきて、でー、たまたまね、こう、まー、ファンの人で、結構こう、なんていうかな、不慮の事故だったりとか、あとは急な病気だったりとかで、あのー、自分で思いがけずね、命をそこで、終わる、まあそういうのをこう、色々伝え聞いたりとかする時期が、丁度重なってて。」
ほうほうほう
「こないだも、丁度春先くらいやったかな、丁度ね、貰った手紙の中で、多分そのご家族の方が書かれてたと思うんですけども、もう、公演してる目の前の席にですね、ぽっかり一個空いてるんですよ」
ほう
「多分、そこに、その彼女が」
来るはずやった
「来るはずやった。でも、辿り着かれへんかった」
うん
「で、病気でね。急に」
急に。
「またこう、風邪のウイルスだかなんか、心臓か、脳かにいって。」
うん
「で、子どもとか、お子さんとかいらっしゃる中で、ご家族残されて。で、そういう方々の気持ちとか。何か、続けてくる事ってさ、なんかこう、どっか、義務的になりがちだったりするじゃないですか。」
うんうんうんうん
「でも、なんかもしかしたらね、そういう人たちが、一番望んでくれてたのは、自分がこうやって歌い続けたりしてる事やったりとか」
うん。
「あとは、前はそんなに好きじゃなかったりしてても、なんかのタイミングで、あ、なんか聴いてみたいなとか思った時に、もうそこに、アーティストとして存在してなかったら、聴きに行きたくても行かれへん」
そうやんな。
「見たくても見られへん」
うん。
「そのためには、どこのタイミングでもしかしたらね、接点を持てるかわからへんわけやから、どんだけ自分が、そういう人たちを待てるかどうかなんだな」
うんうん。
「っていうのもあったし」
うんうん、うん。
「なんか、そういうものに対してね、自分が、じゃあ、そういう人達に対して、直接さあ、例えばなんか病気になりました、怪我しました、すごい傷ついてます、すごい、そういう人達に対して、何が出来るやろう?直接その人達の肩を抱いたりとか、励ましの言葉を直接言えたら良いよ。でも、それが、ぶっちゃけ一人にしていけば、じゃあその人だけ特別で。その周りの人はそれでいいの?そうじゃなかったりするじゃないですか」
うんうんうん
「皆が自分にとって特別やし。で、それをする事を、かくも美談に伝える事は出来るよ。一人の人、例えば何か、すごい、ね?病気を抱えてて、そこにお見舞いに行きました。それを、新聞の記事にしたり、美談にする事は、いくらでも可能。でも、そうじゃないと思うんですよね。じゃあ、自分がじゃあ何をもってして出来るのかって言えば、自分がやっぱりやり続けてきて、自分がそうやって命を削ってるところを見てもらったりして、で、そこで、励まされたわ、とか。そこで、どんな事を思うのかは人それぞれじゃないですか」
そやなー
「僕らは、数字や順位みたいなものを日々突きつけられて、なんか、へんな話、人に評価をしてもらってるわけですから、自分から自分の価値を決めたりじゃなくても、自然にちゃんと自分が、本当に命を削ってやってれば、いつかそれを評価してくれる人もいるし、それに対して、そうやな、何か、ほんとに励まされました、とか。ほんとに勇気を貰いましたって言ってくれる人がいてくれれば、はじめてそこで報われるわけで。そのためにもやっぱ、続けていくしかないし。自分が残せたものとか、記録とか、枚数とかじゃなくて、それがホンマに自分が残したかったもんやったり。それをちゃんと、改めてこのタイミングで、ホンマに残せたか、お前?っていうのを、確かめておきたかったな、っていうのが今回のシングルなのかなー、とか思うんですけどね」
成るほどね。もうまさに、プロモーションビデオでもですね、もう、ぼろぼろの羽をつけながらも、何とか!っていうね、思いがその、伝わってくるし。えー、命削ってるなーという、すばらしいビデオになってますんで、皆さん見てくださいね。とりあえず、まずはこの曲。曲の紹介してもらって、フルボリュームで皆聴いてよ!それじゃあ曲紹介宜しくお願いします。
「はい、8月の17日に、魂を込めてお送りしております!聴いてください。T.M.Revolutionで、vestige」