【読了】『イエロー・バード』byケヴィン・パワーズ

憲法を変えないと戦争が出来ないけど、変える手順をちゃんと踏んでいたらいつまでもかかるから、解釈を変えて戦争ができるようにするよ、って法案が閣議決定したという日にこの小説を読み終えたというのも何か縁でもある気がしたので久しぶりに読書感想文でも綴ろうと思ったえむぞうですよ。

イエロー・バード

イエロー・バード

イラク戦争を描いた小説です。
イラクに派遣された21歳の米兵が、同じく派遣された18歳の兵士を無事に連れて帰ると彼の母親と約束したが…
という触れ込みだったのですが、これだと戦場を舞台にした友情ものかと思ってしまいますがちょっと違いました。
ざっくり言うと、前線にいる当事者にとって戦争ってこういうものという小説でしたよ。
文体は詩的だけど、描かれている場面は凄惨で、どうしようもなく残酷でした。
色々な場面で「戦争」をまるで意志を持った生き物のであるかのように書いているのですが、反対に人間は戦場で情緒や意志をじわじわと手放していっているようで、そうした局面で彼らはどんな思いでいるのかという事が描き出されていました。
筋はシンプルですし、読後に爽快な気分になれるかといえばそうではない。感動するというのとも違う。でも読んでよかったと思いました。


ところで、これを読んだきっかけは例によって映画化の話があって、そこにベネディクトがキャスティングされているからというソレだったのですがね。誰をやるんだろう?
当初、30代後半のベネディクトが21歳の役をやると報じられて(後日なかったことになっていましたがw)ファンダムが騒然としたものですが、21歳と18歳の兵士の他にも、主要な登場人物として軍曹が出てくるのですが、彼も20代半ば…名前の出ていない大佐も大体それくらいの年齢だそうで。ベネディクトの年齢に合いそうなのって、帰還後に主人公の家にやって来る大尉ぐらいではないかと。
まあ、どの役を演じるにしろ、こういう作品は彼はやりたいだろうなと。