全日本選手権観戦記。その7。

結局SOI一番安い席をポチッたえむぞうです。コンバンハ。


ところでまずはお詫びを。
先日のエントリー、男子フリー第3グループで、紅生姜っぽい色味のピンク衣装は、大上君の方のパイレーツでした。今日HDD整理していて、全日本ジュニアの録画を見て気付きました。中村君はもう少し落ち着いた色味のピンクでした。失礼致しました。


さて、全日本観戦記。女子フリーの日は諸事情により帰宅しているので、これで最後に出来るはず。
男子最終グループです。

第4グループ

6分間練習で出てきた中で、スピードあるなーと思ったのは織田君、小塚君、南里君。
私は秘かに無良君の健闘を願っていたのですが、6分間練習のときからジャンプの調子悪かったですね。村主さんや真央ちゃんの例を見ていると、6分間練習でジャンプを失敗するのは、却って直前に念入りに確認出来るから、それ程悪くないのかもしれない。逆に6分間練習で調子がよすぎても本番でその通りに行くかどうかは分からないものなんだと思ったものですが、このときの無良君の不調ぶりは、そういう問題じゃないレベルだったきがしますね。不調を修正できないで6分が終わってしまったような感じでした。緊張故・・・ですかね・・・。


このグループは町田君からスタート。最初の3Aはよかったのですが、その後前半で早くもジャンプが崩れ始め、スケートの伸びも悪くなったので、いつものフリースタミナ切れコースか・・・と思ったのですが、後半予想外に(ごめんなさい)持ち直してきて、嬉しい驚きでした。
でも点が出て、低くて嬉しくない驚きになってしまいましたが。コンビネーション跳びすぎちゃったのね。
次は織田君。最初の4回転の転倒の後は、ミスなくまとめました。
続いて南里君。昨日に続いてのルッツ抜けは痛かった・・・。その他にも着氷のミスがぽろぽろあって、終わった後悔しそうな顔をしていました。でも、以前はミスが出るとジャンプ以外も崩れてしまっていたのが、大分踏ん張りが利くようになったと思いました。いつの間にか、随分と上手くなっているんだな。
そして村上君。はは・・・。えーと、演技に関しては、まあこういう日もあるさって事で。でも泣きそうな顔でリンクを上がるところとか、キス&クライではげしくションボリしている様子とかが、申し訳ないけどかわいいと思ってしまいました(ノ∀`)彼はとりたてて好みではないはずなのに萌えたw
しかしこのPGの音楽がねー。パガニーニなんですけど、最初はあれは、ジャズアレンジ?その後比較的ノーマルな旋律がきたかと思うと、次はヒップホップ風?と、ひとつの曲のアレンジ違いを繋げている感じで、曲調が変わるたびにずっこけました。どうしたいんだよ、この面白パガニーニ・・・と、眼下の上半身を激しくナナメらせてフェンスに張り付いているクマみたいな人を問い詰めたくなりましたが、出来るわけもなく。傾いた背中に非難の視線を浴びせるので精一杯でしたw
そして無良君。やはり6分間練習のよくないイメージのままの演技になってしまいましたが、後半意地で3Aのコンビネーションを決めましたね。今の彼には、3Aは大きなプライドなのでしょうね。
ここで無良君が総合で2位に入れば、表彰台確定です。この時点での2位は南里君。フリーの得点はおそらく南里君に及ばないでしょうが、SPの点差があるので総合でどうなるか。そしてどちらかが表彰台に乗るかで、世界選手権の3枠目がおそらく決まる事になる(小塚君はGPファイナル表彰台で世界選手権代表は内定していました)だろうという事で、手帳をカバンから引っ張り出し、前日のSPの得点を確認しました。計算は苦手なので大雑把に、122点くらい出れば、無良君が上かなーと把握。そして、多分出るだろうなと。僅差になるかもしれないけど、無良君が逃げ切りそうだなと。果たして無良君のフリーは124点。最終滑走の小塚君を残して暫定2位に。表彰台を確定させたのでした。
ところで、おそらく神宮の面々のものな気がする野太い声援、無良君にもかけられていました。彼は昨季の途中から、神宮から岡山に拠点を移したのですが、今でも(多分)神宮のスケーター仲間にも応援されているんだなとちょっと嬉しくなりました。
そして最終滑走の小塚君。スタート位置についたとき、場内のモニターに映った顔は引き締まったいい表情。つい何かを期待してしまいたくなるような・・・。そんな思いで、聴き慣れたメロディがかかるのを待ちます・・・待ちます・・・が、かからない。そこにホイッスルの音が響き、ジャッジ席に小塚君が呼ばれました。何事・・・?と会場がざわつく中、アナウンスが。
「コンピューターシステムの不具合につき、しばらくお待ちください」
場内「えーーー!」の嵐。「ひどーい」なんて声も。そらそうだ。一番集中を高めている瞬間に、こんなアクシデントで切られてしまうのですから。気の毒としか言いようがない。
しかし本人は割と落ち着いた様子(遠目には)。佐藤コーチのところへ行き、言葉を交わすと、身体を冷やさないように軽く流す感じで滑ります。この辺のやり取りに、なんとなくコーチと小塚君の信頼関係の強さを感じました。
ほどなくしてトラブルが解決し、再び位置につきます。集中はそれほど切れていない様子。
最初の4回転はいつもの如くの転倒でした(そろそろ成功すると良いな)が、その後はとても集中した、気持ちのこもった演技でした。特に中盤のスローパートのあたり。あの場面は、ジュリエットに出会う場面でしょうか。振り返って、相手の頬に触れるような仕草をして、その後3サルコウ+2トゥのコンビネーションを跳ぶまでの流れがとても印象的でした。何故か目に焼きついて、今も忘れられない場面です。
終盤のアクセルがシングルになったときは、会場全体から残念そうな溜め息が(笑)しかし演技が終わったらスタオベが起きていました。皆小塚君を愛しすぎだと思いました(笑)でも私も、大きなミスがあった演技でもとても感動しました。ホテルに帰った後も、小塚君のロミオが何故あれほど心に迫ったのか考え込んでしまうほどに(笑)
ちなみに結論は、今の小塚君にロミオと言うキャラクターがとても合っているのだろうなという事になりましたよ。私の中だけでの結論ですが。あのPGは、映画の前半までを描いていて、ジュリエットに告白するシーンで終わるのだそうです。恋に目覚めるというのは、自分の中で今まで気付かなかった部分が覚醒すると言い換えてみると、世界選手権初出場をきっかけに、スケートに対する考え方に変化が起きたという小塚君の今の状況にシンクロするかなーとか。そして告白するというのは、自分の中の変化を外に知らせるという事で、そうする事で、自分の中だけで「俺は変わったー!」だけで終わらず、ある種決意表明するというか、そうする事で何かしらの責任を背負っていく事を受け入れるというか、そういう局面に立つという事につながるかなーとか。それは正に、今の小塚君の状況に近いのではないかとか。そんな感じで、PGと今の小塚君の有り様がマッチしているので、自然に内面にあるものが出てきて、それがまた自然に見ているほうにも伝わるのかなとか思ったのでした。本来のロミオは、責任とかブッチしてジュリエット巻き込んで自滅しますが、このPGはその前に終わっているし。そんなことを考えると「死なないロミオ」というこのPGのテーマって絶妙だったんじゃないかなと思えてきたりしたのでした。妄想ですけどね。


話が大幅に逸れましたが、得点が出て小塚君は2位に。
結局、今回4回転成功した人いないのかー、とぼんやり思っていたら、後ろの席の人もそんな事を話しているのが聞こえてきました。
まあでも、こんな時もあるさ。今回は悔しい思いをした選手が多いと思いますが、悔しい思いがきっと選手を育ててくれるのでしょう。
フィギュアスケートは、勝ち負けはあるけど結局は自分との闘いなんだと思います。自分との闘いの始まりは、まず自分の中のままならない自分に気付き、それと向き合う事から始まるのだと思うし、私は多分そういう選手が好きなのです。


翌日は女子フリーがあったのですが、諸事情によりこの日は家に帰ったので、観戦記はこれでおしまいです。
今回はじめて全日本を観戦しましたが、現地で見てみて、この大会の意味が私の中で少し変わったような気がします。
今までは、世界選手権や四大陸選手権の代表が決まる大会。この大会での結果によって、この後のシーズンがどれだけ続くかとか、次のシーズンの強化指定とかまで決まる重要で緊張する大会でした。
その部分は変わらないのですが、現地で見て、それだけでなく沢山の思いがここに向かって集まってくる大会なんだなと感じました。
代表争いに絡まない選手も、そのコーチも、シンクロチームも、今回初出場のアイスダンスカップルや、ペア。それぞれがこの大会の会場に持ってきた思いを、いろいろな所で垣間見られた気がします。
あと、開場すぐに入って応援バナーを張っている人たちとか(よく見かける、あのバナーはこういう人が作ってたのかとかそんな事があったりw)、美姫ちゃんに赤いバラの中に白いバラで「ミキ」と書かれた大きな花束贈った人とか、友加里ちゃんの演技の後、大きな熊のぬいぐるみを投げ込もうとして、リンクに届かずリンクサイドの、ペットボトルがきれいに並べて置いてあったテーブルに突っ込ませちゃった人とかの思いもね(笑)ああ、また話が逸れたww
まあ、逸れた部分は置いておいて、そういった事を残しておきたくて、こうやって長々と書いてみたのですよ。後で読んで自分でそれが分かるかちょっと不安ではありますが。
何にしてもね。
行って良かった。