間違い電話アレコレ。2

しかし、こうした間違い電話が、思いもかけぬ温かな心の交流をもたらす事もあります。
これは、私の長年の友人天才A子さんの体験談です。
ある夜、A子さんが寝ていると、電話が鳴りました。
眠くて起きる気力のなかったA子さんは、留守電セットしてあるからいーやー。と、そのまま寝ていました。


留守番電話のメッセージが流れます。
それが終わるか終わらないうちに、聞き覚えのないご婦人の声がA子さんの部屋に響き渡りました。


―もしもしぃ、ヨウコちゃん?おばさんだけどぉー!何かねえ、マリコちゃんも胆石の手術受けたらしいのよぉー!!


ヨウコちゃん!?
マリコちゃん!?
手術!?
も!?もって何!?
これ、間違えてちゃいけない電話なんじゃない!?


驚いたA子さんは、一気に眠気も吹っ飛び、慌てて起き出し受話器を取りました。
「もしもし、お電話間違えてますよ。私、ヨウコちゃんじゃないんです、すいません」
―あーらー!ごめんなさいねえ・・・
「いえ、いいんです。マリコちゃんて人に“お大事に”って伝えておいてください」


こう言って電話を切ったらしいのですが。
A子さんから話を聞いて
「何で見ず知らずの間違い電話の相手にそんなに気を遣ってんの?」
と私は大笑いしました。A子さんは、何で笑われているのか分からない様子で「でも、手術とかって大変そうじゃない?」とか言っておりました。
こんなA子さんが、私は大好きです。


ちなみに、A子さんの過去のエピソード。
天才ぶりが窺えます。