さて、酔っ払って爆睡の次の日。

まだちょっとアルコールの残るカラダをひきずりつつ、母のオススメしない靴屋さんへ赴いたのでした。
何故オススメされないかというと・・・一足3〜4万円する靴がザラにあるのです。
更に、こだわりの逸品揃いなので、私を連れて行くとハマってしまうだろう事を危惧していたようです。
しかしながら今回、倉庫移転の為に在庫処分のセールをやったものの、まだ若干在庫が残っているので、欲しい人がいれば・・・と、知り合いに声をかけていたのだとか。
そして、残っている在庫の多くが26cm前後のものだということで、これは行ってみるしかない!!ということに相成りました。


さてその靴屋さんは、高級住宅地の一角にありました。
途中、滅多に見れないようなデカイ家がひしめく様子に眩暈を起こしかけながら靴屋さんに行くと、お店のご主人が出てきました。


このご主人、本業が別にあって、生活にそれほど困っていないので、靴屋さんは半分道楽なのだとか(by母)
しかしまあ、道楽だからこそなのか、靴へのこだわりは並々ならぬものがあるようで、お店の靴について語る語る(笑)


「この靴*1の色は、なめしたまんまの色なんだよ」
「なめすっていうのはね、木の渋とかのタンニンにつけて、皮を革にするんだ。皮だったら、動物が死んだあと硬くなって使い物にならないけど、革にしたらもう硬くならないから、靴や鞄に使えるんだ」
「昔は西洋では木の渋、日本では牛の脳につけていたんだけど、最近では化学薬品を使うようになった」
「靴を燃えないゴミで出さないといけないのは、皮のなめしに使っているクロムが、燃やすと六価クロムになっちゃう。だから都では靴を燃やしちゃいけない事になってるんだ」
「最近は、金属アレルギーを持つ人がクロムなめしの皮革製品を使えない、という症状も増えてきているんだ」
「この靴は、昔ながらのやりかたでなめしをしているから、化学物質過敏症の人でもはけたっていう話がある」
「靴を履くときは、踵をあわせて、ひもをしっかりしめるんだ。ひもをゆるく締めて、とかないで脱ぎ履きするなんて一番ダメだ」
・・・etc.etc.
止まらない(笑)


しかしながら、そのこだわりの靴は、製造元*2が既に製造をやめているのだとか。だから在庫は、このお店にあるだけなんだとか。
しかしこのお店は、外反母趾などの、足にトラブルを抱えている人の矯正用の中敷を作ったりもしている(というか、そっちがメイン?)ので、このお店のお客さんの足には合わないことが多いのだそうで・・・。
私が試着してみると、嬉しそうに
「ああ、こっちも履けるねえ♪こっちはどうだい?」
と喜んで次々出してくる・・・(´∀`;)
けれど、いくら特価でもやはり安くはない靴。買うにも限界があります。
でも、四足お買い上げ(・∀・)♪
かなり値引きもしていただきました。ご主人は
「履いてくれる人に渡せればいい」
と仰っていたのですが・・・


帰り道、母に聞いた話では、倉庫の移転までに残ってしまった在庫は捨てる事になるのだそうで・・・
だから母は、あんな良い靴捨てるなら、ちょっと高くても・・・と私に声をかけたのだとか。


それを聞くと、帰り際私が買わなかった靴を片付けながら
「これも、これも履けたんだよなあ・・・」
と、ちょっと残念そうに言っていたご主人を思い出して、切なくなってしまったのでした・・・。
大事に履きます・・・。

*1:私が一目で気に入った靴

*2:ちなみにドイツらしいです