主さまネタではないのですが。

猫ネタなので。


turboの沖縄のファンクラブイベントにも行かず、東京の我が家(マンションの6階)で昼寝に勤しんでいた、この土曜日の午後。
しかしながら、眠りを妨げる声が、先ほどから聞こえているのです。


「ニャオ、ニャオ、ニャオ・・・」


猫です。
最初は、あまりにもそれっぽい鳴き声だったので、逆に、野良猫だったらこんな声で鳴かないだろ。近所のお子様が鳴きまねでもして遊んでいるのだな。などと思っていたのですが、気付くとかなり長い事鳴き続けています。
人間の子どもに、鳴きまねをここまで続ける根気もないな、と思い、窓から外を窺ってみましたが、姿を確認する事は出来ませんでした。丁度そのときは、隣の家の人が外出するところでした。私の部屋の窓の外、マンションの通路をエレベーターに向かって歩いていく様子が見えました。
隣の家の人が、エレベーターの方へ姿を消すと、再び鳴き声が聞こえてきました。


あれ、近い?


ここはマンションの6階。
こんなところで、猫がずーっと鳴いている声が聞こえるということは、何かのトラブルの可能性が考えられます。
例えば、角部屋のルーフバルコニーに迷い込んで、高さに目がくらんで戻れなくなっているとか・・・。
妙な場所に入り込んで、出られなくなっているとか・・・。


心配になって、外の通路に様子を見に行くと、一軒おいて隣の家の前に、猫がうずくまって鳴いていました。
私の姿を見ると、慌ててすぐそばの消火栓の下に潜り込みました。
とりあえず、危惧したほど深刻な事態ではなかったみたいです。
消火栓の下を覗き込むと、1匹の猫が、怯えた様子でこちらを見ていました。
大人の猫のようです。表情からみて、どこかの家で飼われている子のように見えます。


迷子だな。多分このマンションで飼われている子でしょう。怯えているので、迂闊に手が出せません。


こういうときには、猫使いを呼ぼう。
そう思い、私は一度家に戻りました。


「おかーさーん。通路の消火栓の下に猫がいるよー。迷子みたい」
この言葉で、猫使いこと母はいそいそと出て来ました。
そして消火栓の下をのぞきこみ、怯えている猫に向かって手を伸ばし「おいで」と声をかけました。
すると、素直に猫は出てきて、母に抱っこされました。流石猫使い(笑)
出てきた猫は、思いっきりアメリカンショートヘアー。どう見ても飼い猫ですね。


さて、飼い主を探さなければなりません。
時間が掛かるようなら、ずっと抱っこはしていられないので、私は家にキャリーバッグを取りに行きました。


世の中の猫さんの多くは、病院が嫌いです。
それでも、繰り返し病院に連れて行かれるうちに学習して、病院に連れて行かれる際に押し込められるキャリーバッグを見ると、病院行きを察して、隠れて出てこなくなったりします。
しかし、本来は狭いところにはまるのが大好きな生き物です。
病院の記憶と、キャリーバッグが結びつくまでは、キャリーバッグを見ると、面白がって入ったりします。
我が主さまは、年齢の割りに病院のお世話になった経験が少ない所為か、キャリーバッグが大好きです。先日、お腹をこわして病院に行ったときは、帰宅後もキャリーバッグがお気に入りで、片付けようとすると邪魔をしていました。甘ちゃんの飼い主どもは、それ以来キャリーバッグをリビングの隅に置きっぱなしにしています。そして、主さまは時々そこに入ってまったりしているわけです。


そんな、主さまお気に入りのキャリーバッグを、突然飼い主が持ち出そうとしているのです。
「何事!?」と主さまは飛び起き、飼い主についてこようとしますが、それを振り切り、再び迷い猫の元へ。
ところが、迷い猫はキャリーバッグをみると、取り乱し始めました。
後足から入れようとすると、キックでバッグを遠ざけます。
では、前の方から・・・すると、今度は猫パンチを食らわせたあと、猫使いの肩によじ登って逃げようとします。
うん、明らかに飼い猫だ(^^;;)


迷い猫を落ち着かせる為、水とエサを持って来いと猫使いに命じられ、再び家へ戻りました。
リビングの扉のガラス窓に、主さまが顔をへばりつかせてこちらを見ています。
そんな主さまに、何となく謝りながら、エサと水、それから、以前主さまに門前払いをくらって、しまいこまれていた布製のキャリーバッグを持って、再び迷い猫の元へ。
こちらのバッグは、バッグの上の部分が開くつくりなので、嫌がる猫の出し入れがしやすいようになっているのです。
まだ気が立っている迷い猫を、猫使いは「ママ探してあげるから。落ち着きなさい」となだめていました。
そんな迷い猫の前に、水とえさを出してみたのですが、口をつけません。
しかし、もう抱っこをしなくても、迷い猫は猫使いのそばを離れません。何でそんなに猫に好かれるのですか、あなたは。


猫使いは今度は、7階に住むKさんというご婦人を呼んで来いと言いつけました。
このKさんは、このマンションの猫好きの住人、及びマンション周辺を徘徊する野良猫の動向に詳しい“猫の事情通”です。


事情通Kさんの家のインターホンを鳴らし、出てきたKさんに状況を話します。
「6階で猫が迷ってて・・・アメリカンショートヘアーなんですけど、心・・・」
心当たりはありませんか?と言い終わる前に、事情通Kさんは
「あ、分かった」
と言い、隣のお宅に声をかけました。
「Oさーん!アーちゃんが逃げ出してるみたいよ!」
その声を聞いて、呼ばれたOさんは慌てて出て来ました。
「え?逃げ出してるの?あ!ドアが開いてる!」
玄関ドアが開いていた事に、O婦人は気付かなかったようです。
そして、Oさん宅は、迷い猫アーちゃんが鳴いていた部屋の真上の部屋でした。
猫って、上下の位置関係は把握できないんですよね。


アーちゃんを抱いている母の元へ、Oさんは一家総出で駆けつけて来ました。
母は、O氏にアーちゃんを渡します。
ところが、連れてかえろうとするO氏の腕のから、必死で逃れようとするアーちゃん(笑)
暴れるあまり、遂には逆さ吊り状態に(^^;;)
そして、O氏より逃れたアーちゃんは、こちらへ戻ってきて、母と私に順番に体を摺り寄せました。「ありがとう」と言われてるみたいですヽ(゜∀゜)ノ
そして、婦人に抱っこをせがんで、婦人に抱っこされて家へ帰ったのでした。
O氏が若干不憫でした(^^;;;)


一件落着して帰宅すると、一匹(ひとり)蚊帳の外に置かれた主さまの、怒りの大運動会が開催されたのでした・・・orz

その後は、こんな感じで、元の場所に戻されたキャリーの所有権を主張しておりました。


更にその後、母は、迷い猫アーちゃんの爪でつけられた傷を肴に、近所のクリーニング屋さん(ここの女主人も猫使い)で、猫談義に花を咲かせてきたそうです。