寒い夜だから

そんな、雪が降ってしまう寒い日。
そろそろ美容院に行かなくては、収拾のつけようのないざんばら頭になっている自分は、やむを得ず髪をまとめて外出。
予想は出来ていたことなのですが、むき出しの耳が冷えて痛いこと。「目が・・・目がーっ!」ではなく「耳が・・・耳がーっ!」と叫びたい衝動を抑えつつ家に帰ると、主さまの姿がない。
しかしながら、よーく見ると、ベッドに脱ぎ捨ててある母のはんてん(パジャマ付き)が小さく上下しています。触ってみると、確かな手ごたえ。納得して飼い主はTVを見ていました。
しばらく後に、なにやらずずっ。ずずっ。という音。続いて、どすん。
あ、主さま起きたかな?と思い、ベッドのほうを見に行くと、はんてんは落ちているのだけど、主さまの姿は見えず。はんてんをよけてみると、姿を現したのは、妙な形に膨らんだ、蠢くパジャマ。
母は鷹揚*1な性格なので、着替える際にはいつも、上に羽織ったはんてんごとパジャマを脱いで、その形態のままベッドに放っています。で、主さまはいつもその上で寝たり、寒い日は中にもぐったりしているわけですね。需要と供給のバランスがよくできています。
普段はそれでうまくいっているのですが、今日は主さまがパジャマに絡まってしまった模様。
飼い主は大笑いしつつ、状況をよく確認しました。
なんと主さま、パジャマの袖から出てこようと試みて、動けなくなってしまったようです。
あ・・・アナタねえ、深○恭子似(2/6参照)のがっちり体型で、何を無茶やってるんですか。
呆れる飼い主に、主さまはどうにか袖口から出た頭と片方の前足をジタバタさせ「にゃー!にゃー!」とさかんに鳴いて、救出を要求してきます。
飼い主は、パジャマをめくり上げ、袖の付け根に引っかかっていた後足をはずしました。
これで、頭部を後ろに戻す形で、お尻のほうからでてくれば、と思ったそばから主さま、少し自由になった後足で踏ん張り、更に前進を試みようとします。
袖口から1/3ほど出た主さまの前半身(でも、片方の前足がまだ出せてません)は、まさに引っ込みのつかない状況になっています。
そして更に、辛そうに鳴く主さま。
これは、仕方がない。パジャマを切るか、と意を決して飼い主は部屋を出て、裁ちばさみを手に戻ります。はさみを見て激しく嫌がる主さま。
「じっとして!出してあげるから!」と言いつつ、暴れる主さまに怪我をさせない為には、どういう方向ではさみを入れたら良いか、飼い主は悩みます。
と、そのとき。
はさみに怯えて暴れていた主さまの体が、あっけなく袖からぬけてしまいました。
突然の事態の終結に、唖然としている飼い主を置き去りにして、主さまは隣のリビングへさっさと逃げていったのでした。
今回の事で飼い主は、猫とは基本的に前進しかしない生き物だ、という事を学んだのでした。

*1:ずぼらとか言ってはいけませんよ