世界選手権女子SP

もういい加減シーズンも切り替わるのでスケートの録画を整理せねばと思っているえむぞうですよ。コンバンハ。
というわけで、本日は世界選手権女子SPのJスポーツの放送の見ながら感想文です。
実況は小林千鶴さん、解説は杉田秀男御大(笑)

Patricia GLESCIC

スロベニア代表、18歳。音楽は『Crystalized』
しょっぱなからゲスな事書きますが、胸が結構ある。その辺でジャンプに苦労するんじゃないか系ですね。ただ全体は細身です。正直うらやましい。
音楽はヴァイオリンかな。現代音楽で、なんだかBondっぽい。
3Lo転倒3フリップ1トウ2アクセルもあまりクリーンではないですね。スピンも、ビールマンなど入れていますが今ひとつポジションがきれいにはまりきらない。
足元の滑りは悪くないと思うのですが、上半身の動きが滑りに引きずられるような形になっていてコントロールしきれていない印象です。
実況によるとジュニアの選手だとか。なるほど、あらゆる意味でジュニアっぽい。持っている基礎も方向性も悪くないけれど、まだほとんど全てが仕上がりきっていないという印象です。キスクラにフースコーチの姿が。なるほど滑りの質がオーバルストドルフ組っぽいわけですね。

ブルックリー・ハン

オーストラリア代表、アメリカ生まれの17歳でジュニアとかけもちです。
音楽は『Freedom』と『タイタニック・シンフォニー』割とよく聴くリリカルなピアノ曲で始まり、ステップシークエンスでタイタニックの有名じゃない部分を持ってくる構成です。
3T2T、3Lo、スパイラルから2A。流石アメリカ仕込み。冒頭から凝ったトランジッションを見せ、ジャンプ構成は堅実。コンビネーションと3Loの間につなぎ要素として見せたスパイラルのポジションの美しさはまったくもって全米選手権クォリティでした。そしてスピナーですね。ドーナツのポジションが素晴らしい。軸も流れず回転速度もある、理想的なスピンでした。

ユーリア・トゥルッキラ

きましたフィンランドの妖精。フィンランドには妖精しかいないのかという勢いですが。もう18歳ですか。曲は『Firebird』。この曲だと赤なイメージですが、彼女はオレンジと黄色ですね。
3T1T、3Sどうにかバレエジャンプから1A…。彼女のようなジャンプ構成がやや弱い選手はミスをしない事が大切なのですががががが。音楽も彼女にはあまり合っていないというか、少なくともこの演技は音楽に気持ちが乗り切れていないという印象です。コルピの欠場によって、五輪枠のプレッシャーがかかってしまったのでしょうか。

クーシン・ジャン

中国代表。17歳。怪我で前半をお休みしたので、大分前のグループになってしまいましたね。
曲はショパンノクターンというか、マートンのアレですね。
彼女らしい、スパッと気持ちのいい3T3Tで、思わずTVの前で拍手…の後の痛恨の1ルッツ…。しかしスピンはポジションも速度も素晴らしい。大きなミスはありましたが、40点台の後半は出ました。スピンて大事。GOEって大事。
杉田さん「技術はあるけど表現が…」と。あれですね、背中と表情がどうにもぶっきらぼうな印象になってしまう問題ですね。

Tina STUREZINGER

スイス代表。17歳。曲はタンゴメドレー。かわいい子ですねー。3FLtz 3トウ 2A転倒。2Aの前に著しく減速するタイプ。キャロライン系ですか。要素の前とかにどうにも飛行機ブーンみたいな腕になってしまうところがありますが、振り付けはトランジッションの部分にタンゴらしい動きを入れているし、それが上半身のダンスだけでなくスケートの方にも取り入れられていて、採点対応的には考えられているPGじゃないかと。ただ、そういうPGな分どうもリンクの使い方が小さくなってしまっているのではないかと思います。TVの画面で見たかぎりの印象ですが。


2G

Anita MADSEN

デンマーク代表。にぎやかコーチコンビキター!!最近のコーチウォッチングのハイライト!!!
曲は『死の舞踏』3Lo2Tスピードがあって気持ちい。3S。ふらつきレイバックからの勢いを取り戻して2A。キャメルスピンはOK。勢いに乗ったステップシークエンス。ちょっとレベルがとれているのか心配に。
本人的には満足の演技。きっとこの曲の勢いがフィーリングに合うのでしょう。コーチの(ぇ)練習からコーチがテンションを上げて指導する様が見えるようです。
そしてお約束のコーチのリアクションもしっかりリプレイに盛り込まれています。カナダまで轟いていたコーチのリアクション。
杉田さんが「もう少し丁寧に」と言っていました。まあ一言で言うならばそういう事でしょうね。

Isadora WILLIAMS

ブラジル代表17歳。曲は『Maria and the Violin String』by Amrash。この子もなかなかかわいい。アメリカ生まれだそうです。
3Lz2T 3Lip 2A。マカロワが使っていた曲ですかね。あちこちに少しずつ粗い部分があり、それが微妙に全体の印象を下げているような。

アリーナ・ヒョードロワ

ラトビア代表。17歳。『インセプション』より。
3F転倒。3S転倒。これは痛い。2Aはok。ステップは重みのある曲を上手く表現できていていい…と思ったらスタンブル。ロンドン到着が当日の午前2時になってしまったというトラブルに触れて杉田さんも同情気味。でも衣装や髪飾り素敵ですね。

ケイトリン・オズモンド

おや思ったより早く登場。カナダ期待のケイトリン・オズモンド。申し訳ないのですが、私はこのPG、ラテンなのに黒の長袖というのが納得できないのです。昨季のアイスダンスのラテンSDで極彩色衣装が列をなす光景を想像していたら黒が列をなしていて絶望したトラウマが…。彼女にも明るい色似合いそうだと思うのですが。フリーのカルメンの赤と被らないようにしたかったのでしょうかね。
3T3Tセカンドの回転も文句なしですね。ほかのジャンプも問題なく、自信に満ち溢れた演技で、地元のお客さんも大喜び。リズム感があってダイナミックで…と、杉田さんも絶賛です。しかし、彼女の賞賛される部分はよく分かるのですが、どうもこのPGが好きになりきれない感じが私にはありまして、どうしてだろうといつも思いながら見ていたのですが、今回わかりました。弾けるようなエナジーに満ち溢れた演技ではあるのですが、全体同じ勢いのままで動いているように見えるのが、好みではないのだなと。強調する動きと敢えて力を抜く動きや、効果的なタメなどがあったらもっと雰囲気が出るのではないかなと思いました。

Carol BRESSANUTTI

イタリア代表19歳。イタリアの若手選手が出てくると、スタイルの良さと衣装のお洒落ぶりに驚く流れは健在です。『ベサメ・ムーチョ』
3Loややかすり、3T2T、PGの後半に2A。ところどころ腰が折れ曲がったようになってしまうのが、手足が長いだけに逆に悪目立ちしてしまっているように見えました。それと音楽がBGMだったような。

Inga JANULEVICIUTE

リトアニア代表。17歳。これはまたかわいらしい。『サムソンとデリラ
最初の2Aはスパッと決まって、これはいいと思ったのですが。3Lzで回転が大幅に足りない状態で、はっきりとわかる両足着氷で、そこにどうにか2Aをつけましたが、コンビネーションと認められずに+COMBO扱いで必須要素を満たせず。ああ、無理しないで次のジャンプをコンビネーションにすればよかったのに…って外野は気軽に言うのですのよね。ごめんなさい。次の3Tではなんとも痛そうな転倒。心身ともにダメージが大きかったと思いますが、最後まで滑りきれてよかったです。


オズモンドのインタビューが。「私には脳みそがないから緊張しない」と「No brain No brain」と言い聞かせていたのが効果があったそうです。笑


3G

Anne Line GJERSEM

ノルウェー代表。19歳。ポニーテール。小林さん「ヤシャム」と苗字を読んでますね。アルファベットだからといって読めると思ってはいけない。映画『マスク』より。
きちんと上がれずに2S。3Loシェイキー。2A回り込む系。ジャンプミスが続いたせいかすごい無表情で『マスク』を滑っています。レイバックのスピンの加速に拍手が起きるカナダの客層のクオリティの高さよ。

Nathalie WEINZIERL

ドイツ代表。ちょっとキミー似のナタリーちゃん18歳。映画『栄光への脱出』より。
3Fステップアウト、3Lz2T、2Aオーバーターン。ユーロでの素晴らしいSPの再現とはなりませんでした。しかしフリップもルッツも跳べて、エラーなし、スピンの技術もしっかりしている、いい選手が出てきてドイツには大変喜ばしい事ではないかと。個人的にドイツの選手は好きなタイプが多いので私もうれしいのです。

キム・ヨナ

言わずと知れた韓国のスーパースター。映画『Kiss of the Vampire』より。
1年ぶりの復帰ですが体型がほとんど変わっていない、太った様子も勿論ないし、痩せて筋肉が落ちるなんて事もない。タイトなトレーニングを重ねてきたことが窺えます。
スタートの表情は緊張をしているのかな?という感じを受けましたが、音楽が鳴りはじめたら後の演技はパーフェクト(フリップにエラーはつきましたが)。正直、PG自体にはそれほどインパクトを感じませんでしたが、スケーターとしてのあの飛びぬけたクオリティを維持している事を見せつけるには十分の演技でした。70点台がくるかと思いましたが、あと少し足りませんでしたね。

Kerstin FRANK

オーストリア代表。24歳。おそらく一番滑りにくい滑走順を引き当てたのが、ダイナミックなジャンプのフランクさん。『ボヘミアン・ラプソディー』
ウィーン生まれのウィーン育ち、近代フィギュアスケート発祥の地と言っていい場所by杉田さん だそうですよ。
安定の3T2T。高い3S。バックアウトのスパイラルから2A。厳しい滑走順でしたが頑張りました。
フリーレッグの使い方とかスケーティングに杉田さんからダメだしされていますが、20代スケーターの音楽表現はその人なりの色が出来上がっている人が多くなって、技術的な課題があろうとも好きな人が多いですよ、私は。彼女もこの扱い難い曲を彼女なりの表現で見せていたと思います。

モニカ・シマンチコワ

スロヴァキア代表、17歳。初出場だったのですか。結構前から知っている気でいたので意外です。ミュージカルの『アダムスファミリー』より。
2A 3F 3T2T。おお、いい演技。動き全体キレがありました。世界ジュニアに出ずにシーズン後半シニアに集中したのがよかったのかもしれない。

Kaat VA DALE

ベルギー代表。23歳。Museの『Exogenesis Synphony』ベルギー女子は出てくる人出てくる人細身ですね。
3T 2S1T 2A うーむ。この曲を使うならばスケーティングの一蹴りにもう少し伸びが欲しいところ。使いたくなる気持ちはわかりますが。いい曲だし、名PGもありましたし。


4G

ソニア・ラフエンテ

スペイン代表。『ロミオトジュリエット
3F2T 3Lo 2A。全体的にとても安定した演技でした。

ナタリア・ポポワ

ウクライナ代表。もう19歳ですか。『Pourquoi Me Reveiller』by J.Massenet
『春風よ、何故私を目覚めさせるのか』と小林さんがPGのタイトルの訳を。
3F 3T3Tを予定していたようですが3T2T。滑りながら上半身や腕のストレッチができていて、全身をのびやかに大きく使っています。後半グループに入ってくると、こういう体の使い方が標準装備されてくるのですよね。

エレナ・グレボワ

エストニア代表。『Tales and Legends』by R.Tambin
昨年アメリカに練習拠点を変えてから、ぐっと伸びてきたグレボワ。スタートのポーズから以前より洗練されています。3T3T成功!今回は回転不足とられていませんよ!3Sも高さが出ています。2Aもok。
なんでしょうね、アメリカで練習するとまず姿勢が良くなるのでしょうか。

グレイシー・ゴールド

アメリカ代表。次世代を担う美少女キター!『Hernando's Hideaway』
3Lz3Tきたー!でもちょっとセカンドが回転不足…3Fは明らかにエッジエラーつきますね。2Aは問題なし。キャメルスピンでちょっとポジションが崩れてしまうという、割と痛いミスをポロポロしているのですが、そこでリズムを崩さずに終盤まで気を抜かずに滑りきり、フィニッシュは笑顔。こういうの大事ですね。

エレーネ・ゲデヴァニシヴィリ

グルジア代表。マイスイートエレーネ…。見返すのがつらい…。
秋の大会で五輪枠が取れますように。取れますように。

ジェナ・マッコーケル

イギリス代表。『Imagined Ocean』
3F2T 3T 2Aシェイキー。レイバックのポジションとか相変わらず杉田さんにダメ出しされているけれども、個人的にはこの曲彼女に合っているのではないかと思いましたよ。
杉田さんの厳しい指摘が続くモードになったら、さり気なく褒めポイントを口にしてやんわりと流れを変える小林さんの手腕の素晴らしさよ。


まだあと2グループあるのですよ。製氷が2回です。盛況で何よりですね。


5G
いよいよ最終2グループですが、ここからは大体有名選手ばかりになることですし、感想メインでジャンプの構成などは省いていきますよ。

鈴木明子

『キル・ビル』『レジェンド・オブ・メキシコ』
痩せてますねえ。年明け頃から痩せぶりが気になっていました。4大陸で少し演技的には持ち直したように見えましたが、ちゃんとTVで見るとやはり体が戻っているとは言い難く、4大陸は気力でやれても、世界選手権までにコンディションを整えられるのだろうかと不安に思っていました。そういう意味では割と予期していた範疇といった感じでしたね。まあ国別もとっくの昔に終わった今だから、呑気にこんな事書いていられるのですがね。

ヴァレンティナ・マルケイ

『エスペランザ』ハマりPGのフラメンコです。が。今回は2つのジャンプをミスして、乗り切れない演技になってしまいました。コーチが帯同していない時の方が調子がいいというジンクスは早く終わらせてほしいものです。
ところで、彼女は以前Twitterで、コスチュームを洗濯したら、白地に赤の水玉だったものがピンクと赤の水玉になっちゃった!とか言っていまして、ヨーロッパ選手権のときは本当にピンクの水玉だったのですよ、フリル部分が(笑)この世界選手権では赤と黒の水玉になっていますね。付け替えたんですね(笑)

アデリナ・ソトニコワ

『スペイン奇想曲』レイバックスピンが惜しい。ジャンプは高難度で組んでいるので、それは足がかするときだって回転不足をとられるときだってありますが、この程度なら彼女は他で取り返せる選手なだけに、スピンでも得点をロスしてしまったのが本当に惜しいです。でも、シーズン当初は曲をつかむのが意外に難しそうと思ったのですが、もうすっかりモノにしていますね。

ヴィクトリア・ヘルゲッソン

『Poinciana』今日も美しいヴィッキー。スピンで思わぬミスをしてしまう選手が多かった中で、安定したスピンを見せていました。そして勿論ステップも安定のレベル4。最初の3T2Tは、セカンドトリプル狙いで抜けてしまったという感じですね。

エリザベータ・トゥクタームィシェワ

『アディオス・ノニーノ』思わず「あっ」と口に出して叫んでしまうようなミスが2つ…スピンの入りで転倒ノーバリュー…1A回転不足でノーバリュー…7つしか要素のないSPで2つノーバリューorz
しかし大きなミスの後も演技の勢いを殺さずキレた動きを見せるリーザ様まじリーザ様。フィニッシュ後はしょんぼりしていましたがね。

ズージュン・リー

うおかわいい。知ってるけどわざわざ言っちゃうくらいかわいい。『ダークアイズ』
3T3Tの転倒はあっても後はきっちりまとめました。3Fの着氷した足でくるくるターンするところも「すごい」とかいうわけでなく「かわいい」って言っちゃうんですよね。杉田さんも演技後開口一番「かわいらしい」とか言ってるしw
インタビューでも一生懸命英語で答えようとしてでもギブアップしてしまう様子がまたかわいい。


6G
このグループの6分練習は全部流すのですね。
杉田さんは定番のコストナー=イタリアのスポーツカー話を。

村上佳菜子

『Prayer for Tayler』素晴らしい。前のシーズンからしっとりした曲に挑戦するようになっていましたが、1シーズンではまだ表現できるようになってはいないなと思っていたのです。しかし今回の最初のピアノの音に合わせたステップの繊細さ。佳菜子がこういう子だと勘違いしてしまいそうです(←)
演技が終わった後のちょっと得意げな笑顔に「ふっ」と吹き出し、得点が出る前〜出てからのやりとり「どうかな〜。カナなりにはがんばったよね」「がんばった。がんばった」→「(点が出て)やばいよ!やばい先生どうしよう!」「(順位が出て)やばーい!」「やばいよ、やばいね先生どうしよう!はあー嬉しいー」のやりとりは完全にいつものかなちゃんでしたがまったくどうしてそんなにかわいいのかと。

アシュリー・ワグナー

『Red Violin』いい意味で緊張感を感じさせる演技がぴんと張られた弦のようでした。フィニッシュはジャッジの逆向きになってしまいました。

マエ・ベレニス・メイテ

『Feeling Good』かっこいいいいいいいいいい!!ほんとこの曲ハマってます。今季一番の演技ではないでしょうか。

浅田真央

『I Got Rhythm』うーん、これは3Aに救われた…という事になるんでしょうか。どうだろう。杉田さんは「ステップは素晴らしかった」と言いますが、確かにステップ以外のところで上半身があまり動けていない印象があり、コンディションを上手く合わせてこれなかったという感じです。

カロリーナ・コストナー

『Transylvanian Lullaby』『Devil's Trill』ヨーロッパ選手権では衣装がいまいちでしたが、今回のはきれいです。
3T3Tの転倒が正直結構絵に描いたようなというか(何)でも素晴らしい2Aとステップシークエンスですべて忘れました。あの音楽表現は現役選手で並ぶ人はいないってレベルではないでしょうか。

アリョーナ・レオノワ

『スラムドッグミリオネア』ロシア選手権で振るわずユーロの出場権を逃しましたが、その後の国内戦で結果を出して世界選手権の代表に入りました。流石根性の女。
しかしそこで気力が尽きてしまったのか、このSPは精彩を欠いています。SPに関しては、PGは悪くないと思うのですが、今季はどうもかみ合いませんね。


以上。おわり。