世界選手権ペアFS

1G
いきなり全米チャンピオンたるマリサイからというので少し驚きましたよ。しかしSP13位ということで、このグループ内では順位は一番上だったわけです。
はじめての世界選手権でフリー1番滑走という事で、終始緊張の窺える表情でした。この組のフリーは今季好きなPGのひとつなのですがね。ペアのPGでありながらタンゴらしいムーブメントを上手く入れていて。しかしちょっと固かったせいもあってか、それほど点数は伸びませんでした。というか、世界選手権となると、フリーで最初のグループに入ってしまうと点の出方が厳しくなりがちというかね。
つづくマリちゃんの組は、明らかにコンディションが良くなかったですね。特に男性がフィジカルに問題アリアリで、それに伴ってペアとしての同調性にも影響が出てきてしまっているという。
そしてデラモニカ/グアリーゼ。ジャンプがはまりませんでした。動きや滑りは良くなっている気がする・・・というか、その部分がよくなったからジャンプのタイミングがずれたのではないかという疑惑が。
このグループ最後はケンプ/キング。会場がロンドンですし、大きな歓声です。カナダのロンドンだけどもね。母国の大作曲家エルガーの威風堂々を使っていたけれども、今回のパフォーマンスは曲と同様にとは行かず。解説岡部さんは、このペアはペアに重要なユニゾンがいつも今ひとつ感じられないと言っていますが、確かに・・・。オフアイスでは仲の良さが微笑ましい2人なんですけどね。まあユニゾンの話が出てくるという事が、そこを問題視されるレベルに至ったと言えなくも・・・


2G
ベルホタから。そうかベルホタも第2グループか。ジャンプのミスと、あとリフトでポジションが微妙なものがあったような。スローも着氷が詰まったりしていて、こういうところでGOEを取り損ねる事で、ベストの点数に比べるとがくっと点数が落ちてしまうのですよね、今の採点。でもキャリーリフトのアイディアは今季のPGの中でも印象的なものだったのではないでしょうか。私はとても好きですよ。キスクラでベルトンが何故かValcan Saluteを。何故かいつも親指を閉じてしまう某悪役の中の人よりお上手ですよw
そしてスイハン。ああスイハン・・・正直見るのが辛いのです。ずっと怪我で休んでの今季初戦が世界選手権で、演技終了後立っているのも難儀する状況で試合に出るなんて、と。しかしそんな状況でも最後までやりきって笑顔で客席に挨拶するスイちゃんの強さ精神力は驚嘆ものです。しかし強いから大丈夫とは言えないわけで。そして3組目にこの状況のスイハンを出す中国の現在のペアの状況というのも・・・
続いてシメカ/クニエリム。こちらは大きなミスなくまとめました。初々しい。清々しい。そして、同じアメリカのマリサイを大きく上回る得点を出しました。思いがけない大躍進でした。
最後はペンジャン。このグループはポエタ(ベルホタ)にはじまりポエタに終わるのですね。しかしどうにも比べてしまうと・・・。ペアとしての現時点での力量の差(経験値的にどうしようもない)だけでなく、同じ曲を使っていてもPG自体の差を感じてしまいます。


終わってみると、ここまででシメカ/クニエリムがトップ。おおおおお。
ところで、演技後のインタビューでシメカ/クニエリムに「一部のメディアでは来季のあなた達の活躍を危ぶむ声が」と質問が。そんな事書いちゃうんだメディア!質問しちゃうんだ!曰く「運が良かっただけ」と。本人達は「他人の言う事は気にしません」と答えていましたが。聞いちゃうんですねー。まあ確かに、実績のあるデニー/バレットが怪我でシーズン途中で離脱した事でチャンスを得ているわけですが、そういうときに順番が回ってくる位置にいるというのも力のある証と思いますがね。


3G
地元の大声援を受けてのムーアタワーズ/モスコビッチ。この2シーズンくらい、当初あった粗さがだいぶ抜けてどんどん洗練されていっている印象ですが、それでもこのフリーは難しい曲だったと思います。SPでは気にならなかったジャンプ着氷後のフリーレッグの扱い方だったりといった些細な部分でもうちょっと…と思う場面も。しかし出来自体は、スロージャンプ一つで足がかすった程度。最近のカナダ選手は地元に強くなりましたね。
続いてちょっとお久しぶりなバザロワ/ラリオノフ。演技前にバザロワ様の美しいお顔のアップを見せるのは当然ですよね。
ファンの間では散々話題の「合わせる気のなさそうなサイドバイサイドのジャンプ」が指摘されていましたw
冒頭は少しぎこちない感じもあったように思いますが(問題のジャンプもあるし)、後半に行くほど滑りも動きもよくなったように思いましたね。しかしいい演技をした地元選手の後というのはなかなか厳しいものがありますね。
続いてこちらも怪我に苦しみながらの出場となったパントン。このフリーはこの組の雰囲気によく合ったいいPGなのですが。
最初のサイドバイサイドが1A〜2Aのシークエンスになっても「あるある。ここから!」と思ってしまうのがパントンwでもふたり揃って1Aになっていたので、ユニゾンの面でのマイナス評価は免れるのだそうです。流石(何が)。しかし後半でも安心して見られるはずのスローがひとつ両足着氷になってしまったのはやはりトン兄の怪我の影響でしょうか。スローのミスは投げる側の責任って杉田さんがいつも言っていますし(今回の解説は岡部さん)。それでも表現の美しさや演技全体の流れはここまでで抜けていました。
ジェームズ/シプレ。女性のほうがペアとしての経験が豊富、年齢も上なので、やはり女性がリードする形になるんでしょうか?上手いほうがリードするのでいいと思います、みたいな実況と解説の会話がフラグだったかのように、冒頭ヴァネッサが2つのサイドバイサイドのジャンプで両方ミスをしていましたが。しかし大きなミスはそこだけで、全体はまとまったので岡部さんから「このペアを見た中で一番よかった」とお褒めの言葉を。そして「特に女性がリードしているという雰囲気も感じませんでしたね」とそそくさとフラグを撤収させていましたww
このグループが終わってムーモスがトップ。この組がグループ最初の滑走だったのですが、この組のPGのトランジッションが一番豊富だっただけに、その後に続く組の評価に少し影響を与えたりとかもあったのかなーと思いました。
しかしコレオシークエンスはペアのPGには大いにいい影響を与えていますね。私はジェームズ/シプレのリンクの端と端でスパイラルとイーグルで滑るあたりとか音楽にも合っていてストーリー性も感じられて好きですね。


4G
もう最終グループですか。早いですねー。ダイアリーの更新自体は1ヶ月空いてますけどねー。
ヴォロトラ結成の経緯をよく知らないらしい岡部さん。「パートナーが変わるだけでこんなに素晴らしくなるのか」と、両者の元パートナーの立場ナシみたいなことを言っていますw周囲がこの二人の相性が合うことを見抜いていたのでしょうかという実況の質問に「誰かが勧めたんでしょうねえ」と。それモロゾフ。ターニャの元パートナーの方のモロゾフ。だからあまり元パートナーに厳しいことを言わないでやってください…
このグループも地元選手からですね。デュハメル/ラドフォード。きれいな3ツイストにこんなに揃った3ルッツ見たことない!というサイドバイサイドでロケットスタートという感じでしたが、後半からちょっと集中力が落ちてきた感が。前半が素晴らしかっただけに要素の精度が落ちた印象が強くなってしまったような。それでも大きなミスなくまとめられるところが今季の強さのあらわれでしょう。
今季は衣装で紆余曲折のあったサフチェンコ/ゾルコーヴィ。その上サフチェンコの体調不良と、今ひとつ波に乗り切れないシーズンでした。そして最後のこの試合では点数が出た後にブーイングが。まあ大きなミスがありましたからね。
でもPGの密度はやはり流石と言えるものがあったと思います。なんというか、この組を見て初めて「そういえば人体には背中もあったんだ」と思い出したというか。それだけポジションや空間の使い方が一面的でない、多彩なものだったというか。そしてラストにスロー3Aを持ってくるとは!ラストが一番高揚しなければならないボレロには相応しい演出とはいえほんとにやるかw
最終グループは久しぶりな気がします川口/スミルノフ。もう7年ですって。組んだころから見ているので驚きます。その7年の間、サイドバイサイドは当初いつもスミルノフが安定していなくて、段々安定してきた頃に今度は悠子ちゃんが崩れ、悠子ちゃんが調子を取り戻した頃にまたスミルノフがミスをするようになるという。ペアとしてはどんどん良くなっているのですが、ジャンプの調子のタイミングは合わないのですね。7年間の紆余曲折。でもツイストのキャッチは確率が良くなってきましたね。7年の積み重ね(`・ω・´)
流れのあるいい演技だったのですが、最後のリフトでフェンスにぶつかってリフトが崩れてしまいました。本当にいい演技だっただけに、リフトの点数がまるまるなくなってしまったのが本当に惜しい。スミルノフもショックを受けたような顔をしています。対して「次!次!」な雰囲気の悠子ちゃんw頼もしい。ラストシーズンと決めたらしい来季、悠子ちゃんはこの調子で、スミルノフはもうちょっと用心深く頑張っていただきたいw
そして最後にラスボスヴォロトラ。なんてよく出来た滑走順。最初から圧倒的な勝利を狙いに来ているという風な演技でした。相性がいいのは事実で、技術力の高い二人でもあるのでユニゾンも確かに3年目と思えないレベルではありますが、それでもまだ雑さが見える時もあるのですが、今回はそういう感じを与えませんでした。圧倒的で完璧な演技……最後のスロージャンプまでは。いやいや完璧でした。ターニャはねwwwなぜスローがきれいに決まった後投げた人が転びますかトランコフさんww演技後も、普段穏やかなターニャが珍しく感情を顕にしてガッツポーズ、場内も総スタオベ。そんな中一人微妙な表情のトランコフ氏が可笑しくて可笑しくてw得点が出てやっと生き返って喜んでいましたが。149点という非常に気の利いた得点なところもまた良かったです。あと1点(以下)で150点台…あれ、そのディダクション1ってなんだろう…みたいなwいやでも圧倒的でありましたよ。優勝者インタビューでは、眼鏡をかけるとますます合唱のギャレス先生に似てしまうジェフリー・バトルさんにも店頭について突っ込まれていましたがwしかしマキシムの世界ジュニア優勝もカナダだったねとか話を振れるインタビューの気遣いスキルが何気にすごいバトルさんでもあったのでした。おわり。